ぎふ花と緑

小関園芸

「エボルブルス」

涼しげな小さな空色「エボルブルス」

①生まれた2つのオリジナル品種

 初夏から小さな青い花をつけ、長ければ11月ごろまで可憐な姿を楽しませてくれるヒルガオ科の花、エボルブルス。加茂郡坂祝町にある小関園芸では、そんなエボルブルスのオリジナル品種「ブルーコーラル」と「サマースノー」を栽培。4月末~6月にかけて約3万鉢を、市場を通し全国へ届けています。

 「花の生産に携わっていて一番うれしいのは消費者の方に喜んでいただけること、『長く楽しめました』というお話を聞くことですね。生産者冥利につきます」と話すのは代表の小関正司さん。一度は一般企業に就職したものの、主体的に取り組むことができる花き生産の魅力にひかれ、父が始めた小関園芸を継ぎ、日々植物と向き合っています。

 小関園芸では元々、エボルブルスの主な品種の一つ「アメリカンブルー」を栽培していましたが、挿し木をして増やす中で枝変わりしたものを発見。それを増殖してみたことが、オリジナル品種のブルーコーラルが生まれるきっかけだったといいます。

 「うちは規模が小さいので、出荷作業の際すべての植物を必ず一回は手に取るようにしています。だからこそ何万分の一、何十万分の一の確率の変異を見つけることができました」。

 もう一つのオリジナル品種で白い花を咲かせるサマースノーも「アメリカンホワイト」という品種の変異がきっかけに。初めは偶然でも、見逃さずチャレンジした結果、多くの人々の生活を彩る2つの品種が生まれました。

②失敗を恐れず、長く楽しむチャレンジを

 そんなブルーコーラルとサマースノーですが、一番の特徴は花数が多いということ。従来のアメリカンブルーと比べると約3倍の花が咲くといい、涼しげな印象を与えてくれる空色と純白の花が広がります。加えて、成長が旺盛だというのも特徴の一つ。小関園芸では出荷までに3~4回ほど刈り込みを行うことで、ある程度はメンテナンスフリーでふんわりとボリュームのある姿を楽しむことができるようにしています。

 また、エボルブルスは夏の花。育てる際には15度以上ある日当たりのいい場所に置き、水やりは株が少し萎れてしまうぐらい待ってから、たっぷりとあげるということがポイントです。乾かし過ぎると枯れてしまうことがあるため見極めが大切ですが、そうすることで健康的に育ち、花数も多くなると小関さんは言います。

 「花を買って育てるということが苦手だという人は、失敗しちゃうからだと思うんです。なので、どうすればいいのかということをネットでどんどん調べてもらって、失敗を恐れず植物を長く楽しむチャレンジをしてもらえたらなと思います」。

③植物に対する価値を感じてほしい

 「あくまで私は植物が本来持つ魅力を出す手助けをしているだけ。それが生産者の仕事ですし、一番の使命じゃないかと思っています」。そう話す小関さんはエボルブルス以外にも、栽培面積600坪、計6棟の温室でヒペリカムやシクラメンなど約20~30品種を栽培。新しい品種を作り出す「育種」にも取り組んでいます。

 小関さんのこれからの目標は、育種に力を入れるとともに、花き生産に限らず農業全体の価値を高めていくということ。出荷する苗や鉢のクオリティを上げるのはもちろんのこと、YouTubeで普段の作業の様子などを発信することで、植物の価値をより多くの人に感じてほしいと願っています。
「うちぐらいがやってもそんなに変わらないのかもしれません。でも、そういう人が一人二人でもいないことには、やっぱりこの業界も発展しないので」。

 試行錯誤と挑戦を繰り返し、世の中にこだわりの植物を送り出す小関さん。その栽培への姿勢と取り組みが、人々が持つ植物に対する評価と価値観を徐々に花開かせていきます。その様子はまるで、エボルブルスがいくつもの小さな花を咲かせるように。

小関園芸
WEB https://oz-plants.jp/
YouTube https://www.youtube.com/@OZ-Plants
加茂郡坂祝町黒岩1498
TEL. 0574-25-6166

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