ぎふ花と緑

武藤園芸

武藤園芸
武藤達志さん

心安らぐ紫色のじゅうたん「ラベンダー」

①心地よい香りを全国へ

 リラックス効果や安眠効果を持つ心地よい香りと、鮮やかな紫色が特徴的なハーブの一つ、ラベンダー。香水やアロマオイルなどに利用され、香りのよさと美しさから「ハーブの女王」と呼ばれています。加茂郡坂祝町の武藤園芸では、ベルフラワーやマーガレット、セージに加え、ラベンダーの一種「イングリッシュラベンダー」を栽培。4~6月上旬にかけて約7~8万鉢を全国の市場へと出荷しています。

「暑さに弱いといわれていますが、過湿に気を付けてしっかりと管理すれば3~4年は楽しむことができますよ」。ラベンダーの育てるポイントについてそう話すのは、武藤達志さん。父から継いだ武藤農園でよりよいものを生み出すことを目指して日々、栽培に取り組みます。

 根が弱ってしまうため、水のあげ過ぎには注意が必要だと武藤さん。花首がお辞儀したように少し垂れてきたぐらいが「水がすこし少ないよ」というラベンダーからのサインだといい、そのタイミングでたっぷりと水をあげることで根が弱らず、元気に育つといいます。それを裏付けるようにビニールハウスの中では、紫色の小さな花をつけたラベンダーがすくすくと伸びていました。

②大切にするからこそ、その花に合った育て方を

 ラベンダーを上手く育てるポイントは他にも。一つは、花が咲き終わり少し傷んできたら、花の軸をつまんで取るということ。花から種をつけるときに多くのエネルギーを使うため、種をつける前にしっかりと咲き終わった花の部分を取ることで、株の下へと栄養が行き、再び脇芽が出てくるといいます。取った花の部分は涼しいところで逆さまにしてドライフラワーに活用することもできるので、どこか「もったいない」と感じてしまう人でも安心です。

 もう一つは、太陽の日に当てる時間をつくること。長い間、日に当たらないと、花の色が濃い紫から徐々に白っぽくなってきたのちに、ポロポロと花が落ちてしまうといいます。 「母の日の贈り物などでラベンダーをもらうと、つい大切にしたいから、香りがいいからと家の中に置きがちですけど、天気のいい日には日の当たる場所に出してあげた方が長く楽しめるんですよ」と武藤さん。

大切にするからこそ、長く楽しみたいからこそ、その花に合った育て方をする―。どこか当たり前のことですが、育てる際に気を付けることで、ラベンダーはあなたに元気な姿を長い間見せてくれるでしょう。

③子供の成長を見守るように

「小さなものから徐々に徐々に大きくなっていく。そんな生育を見守ることができるのは楽しいですね。子供みたいなものかな」。
取材中、そう言って武藤さんが見せてくれたのは、スポンジに刺さった小さくかわいいラベンダーの苗。まさにラベンダーの赤ちゃんという言葉がぴったりのその苗は、挿し木したものだといい、ポットの植え替えなどを経て出荷の大きさになるまでには、約1年かかるといいます。
「もちろん植物は生き物なので大変です。自分たちで水も肥料も上げないといけないし、色々なことをしないといけない。ただ、スタッフみんなで手間をかけた分、大きくなってくれたら嬉しいですし、お客さんに喜んでもらえたらいいなと思います」。

愛情と手間暇をかけて、大切に育てられたラベンダー。紫の服を着た小さな花が、全国へ爽やかな香りを届けます。

武藤園芸
加茂郡坂祝町

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